大学に求められる新たな役割

2012.01.07

企業が人材育成にかける余裕が無くなるなかで、今や人を育てる機能を企業に丸投げしてきた時代から企業、大学、家庭それぞれが役割分担して担う時代に変わってきている。その結果、大学も職業的自立、社会・職業への円滑な移行に必要な力を育成することが求められ、職業教育を否定すれば大学の存在意義自体が問われるように変化してきたのである。これが「大学と職業との接続問題」がことさらに注目されるようになった時代背景である。

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それでは大学から社会・職業への円滑な移行に必要な力、職業的自立とはどのようなものなのか。結論からいえば、それは例えば、コミュニケーション能力、粘り強さ、課題発見・課題解決能力、変化への対応力、協調性、健全な批判力などで、まさに企業が求めている人材ニーズそのものなのである。文部科学省が二〇一一年度から、大学や短大に対し、「キャリアガイダンス」や「キャリアデザイン」などの職業教育を正課の教育課程に盛り込むよう大学設置基準を改め、義務化したのも学生に職業人としての進路選択を自覚させるなど「学校から職業への移行」の円滑化を図ろうとしたものだ。これまで各大学は数年前からキャリアセンターの機能を拡充し、就職活動に役立つスキルの形成やノウハウの伝授、資格取得の促進といったテクニック的な取り組みを熱心に行ってきたものの、学生の職業的能力や実務能力を育成する「職業教育」、「キャリア教育」を大学の教育課程全体の中に位置づけ、体系だって取り組んできた大学は少なかった。職業指導に対する教職員への意識啓発も不十分で、卒業後の職業を意識した実践的カリキュラムを実施する大学も少なかった。職業体験などを実習するインターンシップの実施大学は全体の55%に上るが、授業科目として位置づけているのは一割以下。職業に必要な能力習得に役立つ実験・実習といった授業形態による科目も単位数にして二割以下にすぎなかった。




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